スペシャル(以下[ダブ]と略)のミックスって皆さん軽く考えてませんか?
サウンドマンのDAW所有率が高くなって
[ダブ]のミックスを自分たちでやってしまおうという御時世の中、
ステレオのマルチデータでもせいぜい6トラック程度、
L<>Rデータなら2トラックのミックスというこの作業。
コレが実に奥深く、コレが上手く出来ないとマルチトラックのミックスなんて遥か彼方です。
そこで以前、
Twitterでつぶやいた
[ダブ]のミックスのコツについて
まとめとしてコチラにも書いておきます。
まず、[ダブ]のミックスでは
ヴォーカルの存在感をいかにして出すかが重要になります。
リリックが聞き取れないようではせっかくの[ダブ]が台無しです。
[ダブ]のミックスするにあたって、まずヴォーカルをしっかりした音にします。
録り音がちゃんとしてればほとんどする事はありません。
しっかりした音で録りましょう。
処理で注意すべき点としては
コンプをかけすぎると詰まった抜けない音に、EQをかけすぎるとピッチ感がなくなります。
次にオケですが
オケは積極的にEQしたほうが良いと思いますが
必要の無いEQは必要無いです。
よくあるんですが、
マスタリングされた市販CDのオケにヴォーカルを馴染ませるのはかなり困難です。
そういった場合にはEQでダイナミックレンジを拡大するとヴォーカルがグンと馴染みやすくなります。
低域の処理には細心の注意が必要です。
間違っても締まりの無いブワブワした低域にならない様に気をつけましょう。
オケのEQについてもう一つ
当たり前ですが、中域を減らすとヴォーカルが入りやすくなります。
やりすぎてスネアが遠くなったりシンセの空間が狭くなったりしない様に注意が必要です。
L<>Rデータでオケがモノラルの場合、
通常ステレオのオケを単純に左右を足してモノラルにしている事がほとんどなんで、
オケにフィルターをかけたような音になっているものが多く
ハイ落ちしているのが多いのもそのせいで、まぁまぁ厄介です。
EQ等で補正しましょう。
といったかんじで、音質的にはヴォーカルとオケが出来上がり。
ですが、まだまだやる事はいっぱいあります。
ヴォーカルとオケの空間的な距離感に注意しましょう。
この辺りは各EQでかなり変わってくるんでイイかんじに調整しましょう。
中低域の処理で距離感はガラッと変わります。
イイかんじになってきたら空間系エフェクタを使います。
ヴォーカルにはディレイ・リバーブをかける事が多いですが、
[ダブ]の場合はディレイで空間を作る事がほとんどです。
個人的にはレゲェヴォーカルにリバーブはあまり合わない気がします。
ヴォーカルの距離を後ろに下げたい場合、安易にリバーブに頼らないこと。
リバーブではぼやけるだけで後ろには下がりません。
ダブルトラックなんかには特に注意が必要です。
空間系の中でディレイの占める割合が多くなるので
ディレイは絶妙に調整します。
プラグインの場合は空間系エフェクタの前後に
EQをかけてやると浮きにくく出来ます。
そして最も重要なことが
時間軸に沿ったレベル調整です。
パンチポイントなんかには特に注意が必要ですが、そこは録音時にやっておくべき作業です。
フェーダ操作ひとつでヴォーカルに表情をつけることが出来ます。
フェーダに気持ちを乗せるかんじでいきましょう。
YARD STUDIOでは卓でリアルタイムでミックスしたものを録ってますが、
PCベースの場合はオートメーションで対応出来ます。
ヴォーカルは絶対、オケ・エフェクトは状況に応じてフェーダ操作します。
これだけで出来上がりに歴然とした差が出ます。
これで出来上がりですが最後に、
トータルコンプをかけるなら最初からかけながら作業しましょう。
ミックスが終わってからトータルコンプをかけると印象が変わることがほとんどです。
作業を進めながらコンプも調整していくかんじがイイと思います。
最初の設定はプリセットでも自分好みの設定でもなんでも良いです。
コンプはかける(通す)というよりも積極的に当てにいくかんじの方がやりやすいと思います。
コンプを使ってレベルを均すんではなくて、
コンプを使って積極的にカッコよくするイメージです。
アタック・リリースの調整でグルーヴが変わります。
先に書いたフェーダ操作によって
「トータルコンプの当て方」を変えることが出来ます。
コレが案外肝かもしれません。
そして何よりのコツは
「現場でどう鳴るか」をイメージしてミックスすることです。
現場でカッコよく鳴る音に仕上げましょう。
YARD STUDIOでは
[ダブ]のミックスだけもやっております。
興味ある方はお気軽にどうぞ。
Einsteiner